前編では、「メラミン汚染」という同一の事象に対し、『新聞』の報道比較を通じて「論争」が通過されているかを検証し、その有無で得られる「知識」の中身が何であったのかを紐解いてゆきました。そこで中編では、EUが加盟国に対し「メラミン」への対応を緊急に行う書簡を発信したのが「九月二六日」であると報じられていることを踏まえ、「九月二二日」に香港衛生局が基準値を設定するに際し、その公告に於いて謳われた:「欧米に比して厳格である」という言葉の「意味」を考えてゆきます。
そこで必要となるのは、「汚染源」とその「周辺地域」を包摂する「東アジア」という仮構空間の中で、果たして「一般食品2.5ppm・乳幼児用食品1ppm」という基準値が、如何なる「根拠」で成り立ったのか、そして中国衛生部の公告内で傍証的に用いられている「我国の台湾地区」に存在しているという「類似の政策」とは、一体どういう内容なのか、という問いかけです。
「欧米」を参照する「香港」、その「香港」を参照した「台湾」、そして「台湾」を囲い込む「中国」が、互いに制度外の情報を隠蔽し合い、予想された結果を実証するために証拠を提出する関係(mendacity)、即ち「戦略的互恵関係」にあるときに、そこで「日本」政府はどのような位置を選択していたのでしょうか・・・。厚生労働省は十月十六日、「中国」産鶏卵を輸入している「日本」国内の業者に対して自主検査を指示し、メラミンの残留濃度が2.5ppmを超えた場合は回収するよう求めるという公告を出しました。しかしそこに明記されていた根拠には、やはり「欧米では2.5ppmを規制値にしているためである」ということが謳われていました。
メラミンの「基準値」を語ろうとする際、このmendacityから眼を逸らし、「国際化」という概念を、いかにも「ポジティブ」な意味へと「言い換え」てゆく作業には、どういう「意味」が織り込まれてゆくのでしょうか。「メラミン」に対する基準値の設定とは、実質的には「メラミン汚染」認識へのハードル構築であることを思うとき、予想された結果を実証するために証拠を提出していく「国際」的な協調関係は、一体「何」を根拠にし、そしてどこへ辿り着こうとしているのか、普通の「ヒト」であれば、疑問に感じれるはずです。
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